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歯磨きについて
私たちにとって歯磨きは、もはや「毎日の当たり前の習慣」といっても過言ではありません。実際に、調査によると日本人の約96%が毎日歯磨きを行っているとされています。しかし、その一方で、30歳を超える方の約8割が「歯周病」にかかっているという現実があります。このことは、「歯磨きをしている=口の中が清潔に保たれている」とは限らないことを意味しています。

では、なぜ多くの人が毎日歯を磨いているにもかかわらず、歯周病になってしまうのでしょうか。その大きな理由のひとつが「磨き残し」です。歯ブラシを使って歯を磨いていても、実は歯と歯の間や歯ぐきの境目、奥歯の裏側などはブラシの毛先が届きにくく、汚れ(プラーク)が残りやすい場所です。こうしたプラークは細菌の塊であり、時間が経つと歯石に変化して、歯ぐきに炎症を起こします。これが歯周病のはじまりです。
特に「自分ではしっかり磨いているつもり」でも、実際には歯ブラシの動かし方や角度、力の入れ方が不適切なために、汚れを取り切れていないケースが多く見られます。たとえば、歯ブラシを横に大きく動かしすぎると、歯の表面はきれいに見えても、歯と歯ぐきの境目にある細菌が残ってしまいます。また、強く磨きすぎると歯ぐきを傷つけ、知覚過敏や歯ぐき下がりを引き起こすこともあります。つまり、「磨く量」よりも「磨き方」が重要なのです。
では、どのように磨くのが理想的なのでしょうか。
まず基本となるのは、歯ブラシを歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当て、小刻みに動かして汚れをかき出すように磨く「バス法」と呼ばれる方法です。この磨き方は、歯ぐきの炎症予防に効果的です。力を入れすぎず、1本1本の歯を意識して丁寧に磨くことがポイントです。また、歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロス(糸ようじ)を併用することで、歯と歯の間に残るプラークも除去しやすくなります。
さらに、歯ブラシ選びも大切です。歯ブラシの毛の硬さは「ふつう」または「やわらかめ」がおすすめです。硬すぎる毛は歯ぐきを傷める原因になり、柔らかすぎる毛は汚れが落ちにくくなります。また、毛先が広がってきたら1か月を目安に交換するようにしましょう。毛先が開いた歯ブラシでは、どんなに時間をかけても汚れをしっかり落とすことはできません。
そして、歯磨き粉にも注目してみましょう。歯周病が気になる方は「殺菌成分」や「抗炎症成分」が含まれた歯磨き粉を選ぶとよいでしょう。虫歯予防を重視する方は「フッ素(フッ化物)」配合のものがおすすめです。フッ素は歯の再石灰化を促し、虫歯になりにくい強い歯を作る働きがあります。
また、歯磨きは「時間」も大切です。理想的なのは1回につき3分以上、朝・昼・夜の1日3回磨くこと。特に寝る前の歯磨きは最も重要です。睡眠中は唾液の分泌が減るため、細菌が繁殖しやすくなります。寝る直前の歯磨きでしっかりと口内を清潔にしておくことが、虫歯や歯周病の予防に直結します。
しかし、どんなに丁寧に磨いていても、セルフケアだけでは完全に汚れを取り除くことはできません。そのため、定期的に歯科医院で「プロのクリーニング(PMTC)」を受けることが大切です。歯科医院では、専用の機械と研磨剤を使って、歯の表面や歯周ポケットの中まで徹底的に清掃します。これにより、自宅での歯磨きでは落としきれないプラークや歯石を除去でき、歯ぐきの健康を守ることができます。
また、歯科医院では歯磨きの仕方を一人ひとりに合わせて指導してもらうことができます。人によって歯並びや磨き方の癖は異なるため、自分に合ったブラッシング方法を知ることが、長期的な口腔ケアには欠かせません。まさに「かかりつけ歯科医院」を持つことは、お口の健康を守る第一歩なのです。
中央歯科医院では、患者さま一人ひとりに合わせた歯磨き指導を行い、虫歯や歯周病の予防をサポートしています。日々の歯磨きを見直し、正しい知識と方法でケアを続けることで、一生自分の歯で食事を楽しめる健康な口腔環境を維持していきましょう。
